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2022/04/18 22:40
春の気配を感じる3月中旬、滋賀県甲賀市にある直江陶房さんを訪れました。
滋賀県甲賀市といえば、日本六古窯のひとつに数えられている信楽焼(しがらきやき)でも有名な場所です。
高速を降りて、車を10分ほど走らせると細い田んぼ道がみえてきました。
その道を進み、少し坂をのぼると田畑直江さんの工房、「直江陶房」に到着です。
裏手には山があり、梅がちらほら咲き始めていました。
広い空と豊かな自然に囲まれたこの場所で、田畑さんは20年以上作陶を続けてこられました。
田畑さんは京都市出身。呉服屋を営むご両親のもと、日本文化や手仕事が身近にある環境で育ったそうです。
陶芸の道に進むきっかけは、短大を卒業後に就職した貿易会社でのこと。その会社では食器を扱っていて、多くの器に触れる中、魅力を感じたそうです。
3年ほど勤務した会社を退職し、京都の陶工高等技術専門校で基礎を学び陶芸家としての道をスタートしました。
ご結婚を機に滋賀県に移り、現在の工房で作陶活動や陶芸教室を続けてこられました。
直江陶房さんは、染付や絵付け、いっちん等の作品から粉引きをはじめとするシンプルなものまで、幅広い作風です。
私が直江陶房さんの器を初めて手にしたのは2年ほど前。知人から染付の中皿を頂いたのがきっかけです。
はじめて手にした時「なんて可愛いらしくあたたかい器だろう」と感じました。
実際使ってみると、食卓に自然と馴染んでくれる素朴さと可愛らしさを兼ね備えていて、使う頻度がとても高い事に気づきました。
柔らかく優しい風合いで、「これも盛り付けてみよう」と自然に思える、日常に寄り添ってくれる器です。
田畑さんに作品について質問すると、使う場面を想像しアイデアを丁寧に紡いでいらっしゃる事がわかります。
「食卓でほんの少しでも器を楽しんでもらえたら」という田畑さんの思いが込められた作品たちなのだと実感します。
こちらの写真の作品は初めて手にした染付のお皿。
赤土と磁器を混ぜた素地に白化粧が施されています。白化粧によって、やわらかい印象のオフホワイトになっています。その温かみある風合いに、滲んだブルーの絵柄が可愛らしく表現されています。炒め物、パスタにカレーなど1枚あるだけて幅広く活躍する器です。
こちらの中鉢。お鍋の取り皿でも使える事をイメージして出来上がった作品です。
締めのうどんも沢山入るように少し大きめサイズが嬉しいポイント。縁の部分が外にそっているので持ちやすいです。
こちらは、赤い梅の絵付けを施した豆皿。お二人の娘さんの母親でもある田畑さん。お節句の時など愛らしい器が一つあると雰囲気が華やいだそうです。そんな場面をイメージして出来上がった器です。

最後に、作品をつくる時に大切にされている事をうかがいました。
「たくさん使っていただけるように、使いやすさはもちろん大事にしています。
それに加えて、使う時になんだか嬉しいなぁと少しでも思ってもらえると、私も嬉しいですね。
陶芸という仕事を続ける中で、そんな作品をお届けできるように頑張りたいと思います」
《プロフィール》
1992年 京都府陶工高等技術専門校 成形科修了
1993年 京都市工業試験場 本科修了(現 京都市産業技術研究所)
1995年 結婚を機に滋賀県甲賀市に移り現在にいたる
直江陶房さんのインスタグラムはこちら↓